株式会社Preferred Networks 水野 和恵先生「ライフサイエンス分野におけるPreferred Networksの取り組み:データサイエンスでどういった課題をどのように解決するか ?」を開催しました
11月1日(水)18:00-19:00、今年度第7回目の未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS 融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門・医工連携イノベーション推進事業)株式会社Preferred Networks Industry Solutions部門Healthcare & Wellnessチーム Engineering Manager 兼 Researcher 水野 和恵先生の講演会をオンラインにて開催致しました。
今回の講演ではAIを活用し様々な分野で実績を挙げているPreferred Networks(以下PFN)の水野先生から、ライフサイエンス分野の事例と実用化に向けた課題、そして東北大学との共同研究についてお話頂きました。
始めにPFNの会社概要について説明され、主に機械学習を実応用させるPFNの取り組みと、それを可能にするPFNの強みを①優秀な人材を有する高いAI関連技術②自社管理のスーパーコンピューターによる豊富な計算資源③様々な分野でのドメイン知識 の3つに分けて紹介されました。
講義の前半では医療分野での取り組みを紹介され、その中でも特に基盤モデルの活用に焦点を当てて話を進められました。医療分野の事例では①診断・早期発見②個別最適化③訓練/生活支援④創薬/実験自動化⑤基盤モデルの活用 の5つが紹介され、個々の成功実績からAIの医療活用が有用であることを示されました。また最後には専門的な知識を学習させて作成する従来のモデルと異なり、様々な分野の膨大な知識を学習させて作成する基盤モデルを活用した事例について説明されました。従来のモデルでは個々の事例について一定以上のデータ量を確保しなければいけない問題がありましたが、基盤モデルではデータ量が少数である場合でも他の分野の膨大なデータから総合的な判断が可能であり、この基盤モデルを活用することで個人個人に最適化された医療判断を生成していくと今後の展望についても示されました。
講義の後半では水野先生が東北大学と共同で研究した「空気集塵技術を用いた空気中のウイルスの捕集」について紹介されました。この研究は自身の子どもが保育所ですぐに病気にかかってしまうという悩みから生まれたもので、従来のエアーサンプラーより効率的で安価なウイルス可視化システム生成を目標として、最終的には空気中の粒子を直接瓶の液体に集めることができる新しいエアーサンプラーの開発に成功し、東北大学等と協力して実験した測定データでも高い精度を出す事ができたと述べてこの講演を締められました。
本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外444名の方々にご参加いただきました。
水野先生、ご講演いただきありがとうございました。
文責:教育学部4年 仲尾 稔