株式会社ジーンクエスト 代表取締役 高橋祥子 先生「パーソナルゲノムが拓く未来」を開催しました

11月9日(水)18:00-19:00、今年度第6回目の未来型医療創造卓越大学院プログラム(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門・医工連携イノベーション推進事業)FM DTS 融合セミナー 株式会社ジーンクエスト 代表取締役 高橋祥子先生の講演会をオンラインにて開催致しました。

株式会社ジーンクエストが行っている個人向け遺伝子解析サービスでは、利用者にインターネット上で病気のリスク傾向、祖先解析などの遺伝子情報を提供し、予防のための情報などを提供しています。また、それにより構築したデータベースを活用して、大学や研究所、企業など各種研究機関と共同でデータ研究を行っています。

今回の講演では、高橋先生が現在のビジネスに至った経緯や、パーソナルゲノム時代の現状と展望についてお話しいただきました。

高橋先生は、大学院で病気の予防のメカニズムを分子レベルで研究する中で、研究成果を世に発信しながら研究を加速する方法を検討されてきました。その結果、データを蓄積することでサイエンスと社会実装の両輪を回すことができる個人向け遺伝子解析サービスを考案し、それを実現するための最適解として株式会社ジーンクエストの起業を選択されました。

個人が自分の遺伝子情報を知ることができる「パーソナルゲノム時代」は、オーダーメイド医療の実現や疾病リスク回避などのメリットがある一方で、知ることのリスクや差別の助長といったデメリットも抱えています。今後、ゲノムビジネスの市場は確実に拡大し、混乱していくため、ゲノムの正しい恩恵を受けられるサービスを構築する必要があると述べられました。

最後に、これからのバイオ時代の展望についてお話しいただきました。ゲノム解析技術は急速に発展しており、データの取得が容易になる時代が訪れます。あらゆるデータが溢れるこれからのバイオ時代では、データを活かしてどのような未来を描くかを考える「ミッション・オリエンテッド」であることが重要になってくると語られました。ミッションの設定は主観的で人間らしい部分でもあるため、ミッションを描く人ができる人が有利になってくると述べられました。

講演後の質疑応答では多くの質問が寄せられました。倫理的な問題に対しては、技術が最先端になればなるほど倫理的な部分が難しくなるため、多様なバックグラウンドを持つ人と議論することの必要性を説かれました。

本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外434名の方々にご参加いただきました。

高橋先生、ご講演いただきありがとうございました。

文責:元インターン(所属 工学研究科)岩本 空